会社設立の流れで最初に決めること|決める駅の7項目と、後の駅への響き方

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この駅には外から決められた期限がありません。開業したい日から逆算して、自分で締め切りを置いてください(2026年10月11日確認)。
この記事は、こんな人に向けて書いています
会社をつくると決めて、まず何を決めればよいのかを整理したい人。項目の一覧だけでなく、それぞれを決めないと後のどの駅で止まるのか、どの順番で決めると手戻りが少ないのかを知りたい人に向けています。
会社設立の流れの路線図で、N02の決める駅は乗換駅のような位置にあります。ここで決めたことが、その先の印鑑、定款、公証役場、払込み、登記のそれぞれの駅で使われ、行き先を左右するからです。決め忘れや決め直しがあると、後ろの駅で列車が止まります。
この記事では、決める駅で決めておく項目を7つに分け、それぞれが後のどの駅に響くかを示します。項目ごとの細かな選び方よりも、「何を決めると、どの手順が動き出すか」という流れのつながりに重点を置いています。
決める駅は乗換駅:ここで決めたことが後の駅の行き先になる

株式会社の定款に必ず書く事項として、会社法27条は目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称と住所を挙げています。つまり、決める駅で最低限これらが決まっていなければ、次の定款の駅には進めません。

表のとおり、一つの項目が複数の駅に響くものが少なくありません。たとえば本店の所在地は、定款に書くだけでなく、どの公証役場で認証を受けるか、どの法務局に申請するかまで決めてしまいます。会社設立の手順の中で、前の駅の決定が後の駅の行き先を縛る、というのがこの駅の性格です。
この駅には外から決められた期限がありません。そのため、会社設立の流れの中で最も延びやすい駅でもあります。開業したい日から逆算し、「この日までに7項目を決める」という締め切りを自分で置いておくと、後ろの駅の日程が立てやすくなります。
会社設立の準備というと、書類づくりから手をつけたくなるかもしれません。けれども流れの順番でいえば、書類はこの駅で決めた内容を写すための器にすぎません。器を先に用意しても、中身が決まらなければ書き直しが増えるだけです。会社設立の流れを短くしたいなら、まずこの駅で中身を決めきることが近道になります。
会社の形と商号:印鑑と登記の駅に直結する

最初に決めるのは会社の形です。株式会社か合同会社かで、定款をつくる人、定款に書く事項、公証役場の駅に止まるかどうか、登記の申請書の様式まで変わります。形を後から変えると、決める駅以降のほぼすべての手順をやり直すことになるため、7項目の中でも真っ先に固めます。会社設立の流れ全体が、この選択を出発点に枝分かれしていくと考えてください。
次が商号です。商号が決まると、N03の印鑑の駅に進めるようになります。会社の印鑑には商号を彫るので、商号が決まらないうちは注文できません。商号は登記にもそのまま載るため、N08の申請書の内容にも直結します。
商号を決めるときに確かめておきたいのが、商業登記法27条です。すでに登記された他の会社と商号が同じで、かつ本店の所在場所も同じである場合、その商号の登記はできません。法務局はこの点を調べる商号調査を案内しており、オンライン登記情報検索サービスを利用してパソコンから調べる方法も紹介しています(山形地方法務局の案内で確認)。
並行できる商号の候補を絞りながら、本店の所在地と事業の目的を検討する。
順番を入れ替えると困る商号調査より前に会社の印鑑を注文すること。重なりが見つかれば作り直しになります。
メモ 会社の印鑑の種類や作り方は会社設立の印鑑を、会社の形の選び方は合同会社 株式会社 違いのカテゴリーと姉妹サイトのテーマを参照してください。
本店の所在地:公証役場と法務局の行き先が決まる

本店の所在地は、後ろの2つの駅の行き先を決めます。株式会社の定款の認証は、本店の所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人が扱います(公証人法57条)。また、設立の登記は本店の所在地で申請します(会社法49条・911条1項)。
このため、本店の所在地を決めたら、その地域を管轄する公証役場(株式会社の場合)と法務局を、この駅のうちに確かめておくと流れがスムーズです。法務局の管轄は、法務局の「管轄のご案内」のページで調べられます。
本店を後から別の地域に変えると、手戻りが大きくなります。日本公証人連合会の定款認証の案内には、認証後に本店の所在地を他の法務局の管内に変更したときは、変更後の定款について改めてその管内の公証人の認証を受けなければならない旨の説明があります。賃貸物件を本店にする場合の契約上の確認なども含め、本店はこの駅で確実に決めておきたい項目です。
本店の所在地は、自宅、借りた事務所など、いくつかの候補から選ぶことが多い項目です。どの候補にするかで管轄の公証役場や法務局が変わるなら、候補ごとに会社設立の流れの行き先が変わると考えて比べると判断しやすくなります。
株式会社の設立の登記では、本店の所在場所が登記すべき事項の一つとされています(会社法911条3項3号)。つまり登記書類の駅では、本店の具体的な所在場所を書き込む手順が必ず来ます。物件の契約や住所の表記が固まっていないと、この駅で手が止まるので、決める駅のうちに正確な住所まで確かめておきましょう。定款や申請書への具体的な書き方は、登記・定款・登記申請書の書き方を扱う姉妹サイトの担当テーマです。
事業の目的と資本金:定款・払込み・手数料の区分に響く

事業の目的は、定款に必ず書く事項であり(会社法27条1号)、登記にも載ります。認証のあとや登記のあとで目的を足したくなると、定款の変更や変更登記といった別の手順が必要になります。将来の事業も見据えて、この駅で書き出しておくのが流れの上でも得策です。
資本金の額と発起人ごとの出資の額は、N06の払込みの金額そのものになります。発起人が複数いる株式会社では、発起人が割当てを受ける株式の数や払い込む金額、資本金と資本準備金の額に関する事項を、定款に定めがある場合を除き発起人全員の同意で決めます(会社法32条1項)。
資本金の額は、支払いの額にも響きます。株式会社の定款認証の手数料は、公証人手数料令35条で資本金の額等に応じて区分されています。法務局で納める登録免許税も、資本金の額に1000分の7を掛けた額が基準です。
| 資本金の額で変わるもの(株式会社) | 区分・計算 | 響く駅 |
|---|---|---|
| 定款認証の手数料 | 100万円未満は3万円(条件をすべて満たせば1万5,000円)、100万円以上300万円未満は4万円、それ以外は5万円 | N05 公証役場 |
| 登録免許税 | 資本金の額×1000分の7。15万円に満たないときは15万円 | N08 法務局 |
登録免許税は、計算上、資本金がおよそ2,143万円までなら最低額の15万円になり、それを超えると資本金の額に応じて増えます(法務省の発起設立の説明による計算方法。2026年10月11日確認)。資本金をいくらにするかの考え方そのものは、株式会社の作り方や資本金を扱う姉妹サイトの担当テーマで、このサイトでは決めた額が後のどの駅に響くかだけを扱います。
流れの上で注意したいのは、資本金の額を決める駅と、実際に払い込む駅が離れていることです。決める駅で額を決め、定款に書き、株式会社なら認証を受け、そのあとで払い込みます。途中で額を変えたくなると、定款の駅まで戻る手順が生じるので、この駅でしっかり固めておきましょう。
機関と役員:取締役会の有無、人数、任期を決める

株式会社では、取締役を1人以上置かなければならず(会社法326条1項)、取締役会や監査役などは定款の定めによって置くことができます(同条2項)。小さく始める会社の多くは、まず取締役会を置くかどうかを決めることになります。
取締役会の有無は、意外なところに響きます。公証人手数料令35条では、資本金の額等が100万円未満の株式会社で、発起人全員が自然人で3人以下、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の定めがあり、取締役会を置く旨の定めがない、という条件をすべて満たすと、定款認証の手数料が1万5,000円になります。機関の決め方が、公証役場の駅での支払いにまでつながっているわけです。
役員の任期も決めておきます。取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが原則で、公開会社でない株式会社は、定款によって10年以内まで伸ばすことができます(会社法332条1項・2項)。任期は定款に書く内容なので、定款の駅に入る前に決めておきます。

役員になる人の就任の承諾や本人確認の書類は、N07の登記書類の駅で必要になります。誰が役員になるかを早めに決めておけば、その人に書類の準備を頼む手順も前倒しにできます。共同で会社設立を進める場合は、役員の顔ぶれの合意が決める駅でいちばん時間のかかる項目になりがちなので、早めに話し合いの場を設けておくと流れが滞りません。
事業年度と公告方法:定款の駅で書き込む項目

事業年度(決算月)は、定款の駅で書き込む項目です。会社計算規則59条2項では、各事業年度に係る計算書類の作成に係る期間は、前事業年度の末日の翌日(前事業年度がない場合は成立の日)から当該事業年度の末日までとされ、その期間は1年を超えることができないとされています(事業年度の末日を変更する場合の変更後最初の事業年度は1年6か月)。
成立の日から最初の事業年度が始まるため、会社設立の日と決算月の組み合わせによって、最初の事業年度の長さが変わります。設立の日をいつにするかの考え方は、会社設立日の決め方を扱う姉妹サイトの担当テーマです。税務の面から決算月をどう選ぶかは、このサイトでは扱いません。
公告方法も決めておきます。会社法939条1項は、官報、日刊新聞紙、電子公告のいずれかを定款で定めることができるとし、定めがない会社の公告方法は官報に掲載する方法になると定めています(同条4項)。公告方法は登記にも載る事項なので(会社法911条3項27号〜29号)、定款の駅で迷わないよう、決める駅で方針を出しておきます。
メモ 合同会社でも、事業年度や公告方法は定款の内容として検討する項目です。合同会社の定款の細部は、合同会社を自分で・一人でつくることを扱う姉妹サイトの担当テーマです。
決める順番と、この駅のうちに並行できる手順

7つの項目は、どれから決めてもよいわけではありません。後の項目が前の項目を前提にしているものがあるからです。手戻りが少ない順番は、おおむね次のとおりです。

決める駅は自分たちの作業だけで進む区間ですが、外の手続を一つ並行させておくと後が楽になります。発起人個人の印鑑登録証明書です。日本公証人連合会の定款認証の案内では、発起人の本人確認は実務上、印鑑登録証明書の提出によっており、発行後3か月以内のものに限るとされています。取りに行くのが早すぎると期限が切れるので、公証役場の駅に行く日から逆算して取得日を決めます。
並行できる商号を絞り込みながら、本店の所在地を管轄する公証役場と法務局を確かめる。発起人の印鑑登録証明書を取る日を決めておく。
順番を入れ替えると困る会社の形を決める前に定款の案を書き始めること。形が変われば書く事項も様式も変わります。
順番を入れ替えると困る本店の所在地を決める前に公証役場に予約を入れること。管轄が合わなければ予約し直しになります。
設立前のやることを日付順のタスク表にしたものは、やることリスト 設立前のカテゴリーにあります。決める駅の項目をタスク表に写し、締め切りの日付を書き込んで使ってください。
この順番どおりに決めていけば、ある項目を決めたせいで前に決めた項目を見直す、という往復が減ります。会社設立の流れの最初の駅でこの往復を減らせるかどうかが、後ろの駅の進み具合を大きく左右します。
まとめ:決める駅で7項目を固めれば、後の駅は書き写す作業になる

会社設立の流れの最初の駅で決めることは、会社の形、商号、本店の所在地、事業の目的、資本金と発起人、機関と役員、事業年度と公告方法の7つに整理できます。どれも定款に書く内容であり、印鑑、公証役場、払込み、登記の各駅の行き先を決める内容でもあります。
- 会社の形を最初に決める(定款をつくる人と認証の有無が決まる)
- 商号は商号調査をしてから印鑑を注文する(商業登記法27条)
- 本店の所在地で、公証役場と法務局の管轄を確かめる
- 目的と資本金は、定款・払込み・手数料と税額の区分に響く
- 機関と役員、事業年度と公告方法は、定款の駅に入る前に方針を出す
この駅で7項目が固まっていれば、次の定款の駅は、決めた内容を書き写していく作業になります。流れ全体の地図は全体像 図解のカテゴリーの路線図で、日程への落とし込みはスケジュール表 テンプレートのカテゴリーで確かめてください。
会社設立の流れの中で、決める駅ほど自分の工夫で短くできる駅はほかにありません。決める駅を出たら、次は印鑑の駅と定款の駅です。この2つは並行して進められるので、商号が決まった日から両方の手順を同時に動かし始めましょう。
終点のその先へ
決めることの一覧を見て手が止まったら、まずは会社の形と商号の2つだけを今週中に決めてみてください。この2つが決まれば、印鑑の注文と定款の下書きという次の手順が動き出し、残りの項目も具体的に考えやすくなります。
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押した記録はこの端末のブラウザにだけ残ります。
