合同会社と株式会社で会社設立の流れはどう違う?止まる駅と通過する駅を路線図で比較

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合同会社の流れの細部は、合同会社を自分で・一人でつくることを扱う姉妹サイトの担当です。この記事は株式会社との比較に絞っています(2026年10月11日確認)。
この記事は、こんな人に向けて書いています
会社をつくると決めたものの、株式会社にするか合同会社にするかで迷っている人。会社の形ごとの長所短所より先に、「設立までの流れのどこが違って、どこが同じなのか」を路線図の上で確かめたい人に向けています。
合同会社と株式会社の違いを調べると、意思決定の仕組みや役員の任期、信用の違いといった話が先に出てきます。ところが会社設立の流れに限っていえば、2つの路線の違いはそれほど多くありません。違いの中心は、公証役場の駅に止まるかどうかの1点です。
この記事では、合同会社と株式会社の路線を1枚の路線図の上に重ね、止まる駅と通過する駅、同じ駅の中で手順が違うところを順に比べます。どちらの形を選ぶべきかという判断そのものではなく、流れの違いを知ったうえで選べるようにするための比較です。
2本の路線を重ねると、違いは公証役場の1駅に集まる

法務省は、株式会社と合同会社のそれぞれについて設立手続の流れを公開しています。株式会社の発起設立では定款の作成、公証人の認証、出資の履行、機関の設置、設立の登記という段階が並び、合同会社では定款の作成、出資の履行、設立の登記という段階が並びます。並べてみると、定款認証を除けば骨組みはよく似ています。
このサイトの路線図に当てはめると、どちらの会社設立も同じ10駅の線路の上を走ります。違うのは、株式会社の列車がN05の公証役場の駅でドアを開けるのに対し、合同会社の列車はそのまま通り過ぎるという点です。


このように、会社設立の流れで合同会社が通過するのはN05の1駅だけです。そのほかの駅には両方とも止まりますが、駅の中の手順には細かな違いがあります。以下では、駅を順に進みながら違いを拾っていきます。会社設立の手順を一つずつ比べると、違いが思ったより少ないことに気づくはずです。
比べるときに気をつけたいのは、「駅が1つ少ない」ことと「日数が半分になる」ことは別だという点です。通過するのは待ちの駅なので、日程への影響は小さくありませんが、作業の駅や法務局の審査は共通です。日数の差がどこから生まれるかは、同じカテゴリーの日数の比較の記事で掘り下げています。
決める駅の違い:発起人と社員、取締役と業務執行社員

N02の決める駅で決める項目は、商号、本店の所在地、目的、出資の額など、両方の会社に共通するものが大半です。違うのは、会社をつくる人と、会社を動かす人の呼び方と決め方です。
- 株式会社
- 定款をつくるのは発起人(会社法26条1項)。会社の成立後に業務を担う取締役は1人以上置く(会社法326条1項)。設立時取締役は出資の履行が完了したあとに選任するか、定款で定めておく(会社法38条)
- 合同会社
- 定款をつくるのは社員になろうとする者(会社法575条1項)。社員の全部を有限責任社員とする旨を定款に記載する(会社法576条4項)。業務を執行する社員や代表する社員は定款の定めなどで決まる
株式会社では、出資する人(株主)と経営する人(取締役)を分けて考えるため、決める駅で「誰が出資し、誰が役員になるか」を別々に決めます。合同会社では、出資する社員が原則として業務も執行する前提なので、決める駅での登場人物の整理は株式会社より単純になりがちです。
一人で会社をつくる場合は、どちらの形でも自分が発起人(社員)であり役員(業務執行社員)でもあるので、この違いは流れの上ではあまり目立ちません。共同で会社設立を進める場合は、株式会社のほうが決める項目が多くなり、全員の合意をとる手順にも時間がかかります。
なお、会社の形そのものは、決める駅の最初に選んでおく項目です。定款の駅に入ってから形を変えると、定款の記載事項も、登記の申請書の様式も、すべて最初から作り直しになります。会社設立の流れの中で、形の選択はほかのどの項目よりも先に済ませておきたい決定です。
定款の駅:つくるのは両方、公証人の認証は株式会社だけ

定款は、株式会社でも合同会社でも必ずつくります。電磁的記録で作成できる点も共通です(会社法26条2項、575条2項)。違いが出るのは、つくった定款をどう扱うかです。

株式会社の定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません(会社法30条1項)。一方、法務省の合同会社の設立手続の説明には、合同会社の定款については公証人の認証を受ける必要はないと明記されています。登記の添付書面の一覧でも、定款の欄に「公証人の認証は要しない」と書かれています。
必ず書く事項(絶対的記載事項)も少し違います。株式会社では目的、商号、本店の所在地、出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名・名称と住所の5つ(会社法27条)。合同会社では目的、商号、本店の所在地、社員の氏名・名称と住所、社員の全部を有限責任社員とする旨、社員の出資の目的とその価額などです(会社法576条)。
定款の書き方の違いそのものは、登記・定款・登記申請書の書き方を扱う姉妹サイトの担当テーマです。このサイトでは、認証の有無が流れにどう響くかを次の章で見ます。
公証役場の駅を通過すると、流れから何が消えるか

合同会社がN05を通過すると、会社設立の流れから消えるものは3つあります。公証役場との事前調査と日程調整という待ち、認証の日の手続、そしてこの駅での支払いです。
株式会社の流れでは、定款の案と実質的支配者となるべき者の申告書を事前に送り、事前調査を受けてから認証の日を迎えます。この往復の長さは公証役場と時期によって違い、一律の日数は示せません。合同会社の流れでは、この不確定な待ちがまるごとなくなり、定款が固まればそのまま払込みへ進めます。
待ちの駅が1つ減ることは、会社設立の日程の「読みやすさ」にも効いてきます。自分の作業だけで進む区間が長くなるため、開業日から逆算した日程を立てやすくなるのです。反対に株式会社では、公証役場の待ちに余白を持たせる分だけ、日程表の前半にゆとりが必要になります。
支払いの面では、株式会社は認証の手数料を公証役場で払います。公証人手数料令35条により、資本金の額等が100万円未満なら3万円(一定の条件をすべて満たせば1万5,000円)、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円です(2026年10月11日確認)。紙の定款なら、国税庁の一覧表で会社の設立のときに作成される定款の原本は1通4万円の印紙税がかかります。

費用の内訳や総額は、会社設立の費用を扱う姉妹サイトの担当テーマです。このサイトでは、どの駅でいつ支払いが発生するかを費用 いつ払うのカテゴリーで扱っています。
払込みの駅:根拠の条文と、払い込む時期の決まり方

N06の払込みの駅には、どちらの会社設立の路線も止まります。ただし、払い込む時期を決めている条文が違います。
株式会社では、発起人は設立時発行株式を引き受けたあと遅滞なく出資の全額を払い込み、払込みは発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所で行います(会社法34条)。一方、合同会社では、社員になろうとする者は、定款の作成後、設立の登記をする時までに、出資に係る金銭の全額を払い込むと定められています(会社法578条)。
流れの上で見ると、株式会社は「定款認証のあと」、合同会社は「定款の作成のあと」が払込みの起点です。どちらも、定款の内容が固まってから払い込むという順番は共通しています。払込みを証する書面を登記に添付する点も同じです。
並行できるどちらの形でも、定款の内容が固まる前から、払込みに使う口座や入金の方法を確かめておくこと。
順番を入れ替えると困る株式会社で、定款認証の前に払い込むこと。合同会社で、定款の作成前に払い込むこと。
株式会社の流れでは、払込みのあとに設立時取締役の選任と設立手続の調査(会社法38条・46条)が続き、調査の終了日などから2週間以内に登記を申請するという期限(会社法911条1項)にもつながります。合同会社の流れには、この選任と調査の手順は同じ形では出てきません。
登記の駅:申請書・添付書面・登録免許税の違い

N07で書類をそろえ、N08で法務局に申請する流れは共通です。設立の登記は会社を代表すべき者が申請し(商業登記法47条1項)、この規定は合同会社の登記にも準用されています(商業登記法118条)。違いは、添付する書面と登録免許税の額に表れます。
| 比べる点 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款 | 公証人の認証を受けたもの | 認証は要しない |
| そのほかの主な添付書面 | 払込みがあったことを証する書面など | 業務を執行する社員の一致があったことを証する書面、払込み・給付があったことを証する書面など |
| 登録免許税 | 資本金の額×1000分の7。15万円に満たないときは15万円 | 資本金の額×1000分の7。6万円に満たないときは6万円 |
| 申請の期限の定め | 調査終了日などから2週間以内(会社法911条1項) | — |
登録免許税の額は、法務省の株式会社・合同会社それぞれの設立手続の説明で確かめました(2026年10月11日確認)。最低額の差は9万円で、資本金が小さい会社ほどこの差がそのまま設立の駅での支払いの差になります。
申請書の様式と記載例は、法務局の商業・法人登記の申請書様式のページに、株式会社用と合同会社用がそれぞれ用意されています。登記書類の駅でどの様式を使うかは、決める駅で選んだ形によって自動的に決まります。
株式会社の会社設立では、申請の期限が会社法911条1項で決まっているため、払込みと調査を済ませた時点から登記の駅までの流れに時間の枠がかかります。合同会社の設立の登記について定めた会社法914条には、このような期間の書き方はありません。そのため株式会社の場合は、登記書類の下書きを公証役場の待ちのあいだに進めておくと安心です。
審査から終点までは、同じ線路を走る

申請を済ませたあとの流れは、株式会社も合同会社も同じです。株式会社は本店の所在地で設立の登記をすることによって成立し(会社法49条)、合同会社を含む持分会社も同じく本店の所在地で設立の登記をすることによって成立します(会社法579条)。どちらも申請した日が設立の日になります。

法務局が公表する登記完了予定日は、商業・法人登記として示されており、株式会社か合同会社かで分けてはいません。2026年9〜10月の申請分では、福岡法務局本局で申請から14〜17日、仙台法務局本局で11〜14日が予定日でした。申請に不備がある場合などは予定日の翌日以降になることがある、という注記も共通です。
つまり、合同会社と株式会社の会社設立で日数に差が出るのは申請より前の区間で、申請から後ろは同じ待ちを共有しています。終点で登記の完了を確かめる手順も変わりません。登記事項証明書の取り方などは、登記完了 確認方法 終点のカテゴリーで扱っています。
まとめ:合同会社と株式会社の流れの違いは、1駅と駅の中の手順

合同会社と株式会社の会社設立の流れを重ねると、違いは次の4点に整理できます。
- N05 公証役場の駅:株式会社は停車、合同会社は通過(定款認証の有無)
- N02・N04:定款をつくる人と必ず書く事項(発起人か社員か)
- N06のあと:株式会社には設立時取締役の選任・調査と、2週間の申請期限がある
- N08:添付書面と登録免許税の最低額(15万円/6万円)
それ以外の駅の並びと順番、法務局の審査の待ちは共通です。どちらの会社設立でも、定款が固まってから払い込み、払込みが済んでから登記書類を仕上げる、という順番は変わりません。会社の形をどちらにするかは、流れの違いだけでなく事業の中身で決めることですが、流れの面では「公証役場の駅に止まる時間を取れるか」が大きな判断材料になります。
株式会社の流れを10駅すべてたどりたい人は株式会社のカテゴリーへ、合同会社の流れを細部まで知りたい人は、合同会社を自分で・一人でつくることを扱う姉妹サイトのテーマを参照してください。全体の地図は全体像 図解のカテゴリーの路線図にあります。
終点のその先へ
株式会社か合同会社かで迷ったら、まず路線図のN05の駅を指でなぞってみてください。そこに止まる時間と支払いを受け入れられるかどうかが、流れの面から見た答えの半分です。残りの半分は、どんな会社を育てたいかで決めてください。
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