株式会社の会社設立の流れ|各駅停車の10駅と、株式会社だけが止まる駅

乗車案内この記事が扱う区間
株式会社は定款認証の駅(N05)に停車します。日数は公証役場への問い合わせと、本店所在地を管轄する法務局の登記完了予定日で確かめてください(2026年10月11日確認)。
この記事は、こんな人に向けて書いています
これから株式会社をつくる予定で、会社設立の手順を最初から最後まで一本の線として把握したい人。合同会社ではなく株式会社を選んだときに、どの駅が増え、どこに時間がかかるのかを知りたい人に向けています。
株式会社の会社設立は、路線図でいえば各駅停車です。10の駅をすべて通り、途中で公証役場の駅にも止まります。駅の数が多いぶん、どこで何をして、次にどこへ向かうのかを先に知っておくと、全体の流れを見失わずに進められます。
この記事では、株式会社の路線を出発のN01から終点のN10まで順に追い、株式会社だけに出てくる手順に印をつけていきます。駅ごとの書類の書き方や費用の内訳には立ち入らず、「何をする駅か」「何日かかるか」「次はどこか」の3点に絞って案内します。
STATION N01株式会社の路線は、10駅すべてに停車する

法務省が公開している発起設立の解説は、定款づくりから始まり、出資、役員の選任、登記へと4つの段に分けて手続を示しています。このサイトの路線図はそれを準備の段階まで含めて10の駅に割ったもので、株式会社の流れはその全駅に停車します。

株式会社に特有なのは、大きく3つです。1つ目は、定款を公証役場で認証してもらうN05の駅があること。2つ目は、払込みのあとに設立時取締役を選び、設立の手続を調べる手順があること。3つ目は、その調査が終わってから一定の期間内に登記を申請するという日付のしばりがあることです。
この3つはいずれも、合同会社の流れにはそのままの形では出てきません。逆にいえば、株式会社の会社設立の流れを理解するには、この3つが10駅のどこに入るかを押さえれば足ります。以下、駅の順に見ていきます。
なお、同じ株式会社の会社設立でも、進め方によって乗る路線は変わります。すべて自分で書類をつくる各駅停車、電子定款を使う路線、会計ソフトの設立サービスと並走する路線、専門家に依頼する快速と、どれを選んでも駅の並び自体は同じです。変わるのは、自分が降りて作業する駅の数と、紙か電子かで変わる手順の形です。
メモ 法務省の説明は、発起人が設立時に発行する株式の全部を引き受ける「発起設立」を前提にしています。この記事も発起設立の流れで書いています。
STATION N02出発から定款まで:株式会社の定款に何を書くかで次が決まる

N01で会社をつくると決めたら、N02で基本事項を決め、N03で印鑑を注文し、N04で定款をつくります。ここまでは自分で手を動かす作業の区間で、相手を待つ時間はほとんどありません。
株式会社の定款は、発起人が作成し、その全員が署名または記名押印します(会社法26条1項)。電磁的記録で作ることもでき(同条2項)、これがいわゆる電子定款です。書き漏らすと定款そのものが成り立たない項目は会社法27条にまとまっており、事業の目的、会社の名前、本店の場所、出資の規模、発起人が誰か、の5つです。

発行できる株式の総数(発行可能株式総数)を定款で定めていない場合、発起人は会社の成立の時までに、全員の同意で定款を変更してその定めを設けなければなりません(会社法37条1項)。株式会社ならではの記載事項なので、定款の駅で決め忘れると後ろの手順で手間が増えます。
株式会社には取締役を1人以上置かなければならず(会社法326条1項)、取締役会は定款の定めによって置くことができます(同条2項)。取締役会を置くかどうかは、役員の人数だけでなく、公証役場の駅で払う手数料の区分にも関わるため、株式会社の会社設立では定款の駅に入る前に決めておきたい項目です。
印鑑の注文は商号が決まってからです。印鑑の仕上がりを待つあいだに定款の案を書けば、N03とN04は並行して進められます。条文をどう書くかは、定款と登記の書き方を専門にする姉妹サイトの領分です。
STATION N03公証役場の駅:株式会社だけが停車する最初の待ち

公証人が認証していない株式会社の定款には効力がない、というのが会社法30条1項の定めです。どこの公証人に頼むかも自由ではなく、本店のある地域を受け持つ法務局の管内の公証人に限られます(公証人法57条)。このため、株式会社の流れではN04のあとに、N05の公証役場の駅が必ず入ります。
この駅で待たされるのは、認証の前に公証役場へ定款案などを届け、中身を点検してもらうやりとりの時間です。往復の回数と公証役場の日程によって長さが変わるため、一律の日数は示せません。
認証の日には手数料を払います。金額は資本金の額などによって4段階に分かれています(公証人手数料令35条)。

表の「条件」とは、発起人がみな個人で3人以内であること、発起人が設立時の株式をすべて引き受ける定めがあること、取締役会を置く定めがないこと、の3つです。小さく始める一人会社の多くはこの条件に当てはまりますが、共同で出資する人が4人以上になる場合や、取締役会を置く場合には区分が変わります。株式会社の会社設立では、N02で決めた人数と機関の形が、ここで支払いの額として表に出てくるわけです。
紙で定款をつくった場合は、これに加えて4万円の印紙代がかかります(国税庁の印紙税の一覧で確認)。電子定款なら印紙は不要です。
しかも、いったん認証された定款は、会社ができあがるまで原則として書き換えられません(会社法30条2項)。公証役場の駅は、株式会社の会社設立の流れの中で「内容がいったん固まる駅」でもあります。この駅の段取りの細部は、公証役場の区間だけを扱うカテゴリーで説明しています。
STATION N04払込みの駅:認証のあと、発起人が決めた口座へ

定款の認証が済んだら、N06の払込みの駅です。株式を引き受けた発起人は、すぐに全額を入金する義務を負い、入金先は発起人が選んだ金融機関の口座になります(会社法34条)。
この駅の作業は、入金と、払込みがあったことを証する書面の用意です。株式会社の設立の登記には、この書面を添付します(商業登記法47条2項5号)。作業の量は少ないものの、ここで記録される日付と金額が、あとの登記書類にそのまま載る点が大切です。
払込みの順番を早めすぎないことも、株式会社の流れでは意識したい点です。定款の内容が確定しないうちに入金すると、資本金の額や発起人ごとの引受けと合わなくなるおそれがあります。入金日の選び方は、払込みの時期だけを扱うカテゴリーで掘り下げています。
払込みのあとは、登記の申請まで一気に進む区間に入ります。払込みを証する書面を作ったら、その日付と金額を登記申請書の下書きに書き写し、次に述べる設立時取締役の選任と調査の手順へ進みます。会社設立の流れの中で、払込みの駅は短いものの、後半の作業のスタート地点にあたります。
並行できる公証役場の返事を待つあいだに、払込みに使う口座と入金の方法を確かめておく。
順番を入れ替えると困る定款の認証より前に、内容が固まっていない状態で払い込むこと。
STATION N05目に見えにくい駅:設立時取締役の選任と、設立手続の調査

株式会社の流れには、路線図の駅名には出てこないものの、N06とN07のあいだに挟まる手順があります。発起人は、出資の履行が完了したあと遅滞なく、設立時取締役を選任しなければなりません(会社法38条1項)。定款で設立時取締役を定めておけば、出資の履行が完了した時に選任されたものとみなされます(同条4項)。
選ばれた設立時取締役は、選任後遅滞なく、出資の履行が完了していることや、設立の手続が法令や定款に違反していないことなどを調査します(会社法46条1項)。外から見ると書類の上の手続ですが、次の駅の期限の起点になるため、流れの中では見落とせません。

合同会社の流れには、この「選任と調査」の手順がそのままの形ではありません。株式会社の会社設立で手順が多く見えるのは、公証役場の駅だけでなく、この目に見えにくい手順が加わるからでもあります。
STATION N06法務局の駅:申請した日が設立の日、期限は2週間

N07で登記書類をそろえたら、N08で法務局に設立の登記を申請します。会社は登記を済ませた時点で法人として生まれます(会社法49条)。申請人は会社の代表者となる人で(商業登記法47条1項)、認証済みの定款や入金の証明などを一緒に出します(同条2項)。
株式会社には申請の期限があります。会社法911条1項は、設立の登記を、設立時取締役による調査が終了した日と発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内にしなければならないと定めています。法務省の発起設立の説明にも同じ趣旨が書かれています。
日程表の上では、この2週間を「払込みと調査が済んだら、登記書類の最後の仕上げと申請をこの期間に収める」という枠として使います。書類の骨組みを早めに作っておけば、この枠は会社設立の最後の仕上げに十分な長さです。会社設立の手順のうち、期限が法律で決まっている数少ない区間です。
申請の方法は、書面(持参または郵送)とオンラインがあります。郵送の場合、法務局の公表ページでは、申請書が法務局に配達された日を申請日とみなすとしています。設立の日にこだわりがあるなら、発送日ではなく到着日で考える必要があります。
登録免許税もこの駅で納めます。法務省の説明では、株式会社の設立登記の登録免許税額は資本金の額に1000分の7を乗じた額で、計算結果が15万円を下回れば15万円が納める額になります。いくらかかるかの総額は費用専門の姉妹サイトに任せ、ここでは「法務局の駅でこの税を納める」というタイミングだけを押さえておきます。
メモ 2026年2月2日からは、条件を満たせば休日を会社の設立の日とすることもできるようになりました(法務省)。どの日を設立日にするかの考え方は、設立日を専門にする姉妹サイトで扱っています。
STATION N07審査から終点まで:公表された予定日で待ちを読む

申請が済むとN09の審査の駅に入ります。ここは株式会社でも合同会社でも同じ待ちで、各法務局が公表する登記完了予定日で長さを読みます。

2026年10月11日に確認した公表例では、福岡本局の9〜10月申請分が14〜17日、仙台本局の同じ時期が11〜14日という幅でした。年度替わりの東京法務局本局の表(2026年3〜4月申請分)では22〜34日の例もあり、時期によって待ちの長さは大きく変わります。年度替わりや年末年始に申請日が重なりそうな会社設立では、この差を見込んで日程を組むのが安全です。書類の不備が見つかったときは、表の予定日より遅れることもある、と各表に断り書きがあります。
終点のN10では、登記が完了したことを確かめます。登記事項証明書を取る方法のほか、登記情報提供サービスで登記の内容を確認する方法もあります。確かめ方は、終点だけを扱うカテゴリーの記事で順を追って説明しています。
STATION N08まとめ:株式会社の流れは、3つの特有の手順を地図に書き込んで進む

株式会社の会社設立は、10駅すべてに止まる各駅停車です。そのなかで、合同会社にはない手順が3つあります。
- N05 公証役場の駅:定款の認証。事前調査の往復と日程調整という待ちが入る
- N06とN07のあいだ:設立時取締役の選任と、設立手続の調査
- N08 法務局の駅:調査の終了日などから2週間以内という申請の期限
この3つを路線図に書き込んでおけば、株式会社の流れのどこで止まり、どこから急ぐ必要があるかが見えてきます。会社設立の日程を組むときは、公証役場の待ちと法務局の審査という2つの黒い札の区間に余裕を持たせ、残りの作業の駅をその前後に詰めていく考え方が使えます。全体の日数は、期間 何日のカテゴリーで作業と待ちに分けて数え直してください。合同会社とどこが違うかを確かめたい人は、合同会社 株式会社 違いのカテゴリーへどうぞ。
株式会社の流れは駅が多いぶん、一つひとつの駅でやることは小さく分かれています。各駅で次の駅に何を渡すかを意識しておけば、10駅を順に通り抜けるのは決して難しくありません。
終点のその先へ
株式会社の路線に乗ると決めたら、まずは公証役場の駅と、払込みのあとの2週間の期限を手帳に書き込んでみてください。その2か所が決まれば、前後の駅の日程はそこから自然に割り付けられます。
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